14年目を迎えて

4月になりました。藤田歯科医院は今日で14年目に入ります。旧医院から数えると85年になります。
今年も毎年出している年報の今年の分(5月発行予定)冒頭の挨拶文をもちまして、ご挨拶とさせていただきます。

これまでの分は
1. 新築1周年を振り返る 2000.4月
2. 歯科医院におけるIT革命 2001.4月
3. 歯科医院におけるIT革命その後 2002.4月
4. 変革の時代のキーワードで見る藤田歯科医院の現在未来 2003.4月
5. 患者中心の歯科医療を目指して 2004.4月
6. カイゼンとチェック 2005.4月
7. 自己責任と信頼関係 2006.4月
8. 映画「県庁の星」と患者医者関係 2007.4月
9. 地域社会との融合を目指して 2008.4月
10. いま、ここ、そして未来へ 2009.4月
11. 高齢化社会の中の「老い」と「死」 2010.4月
12. 資本主義と歯科医療 2011.4月

過去と知識化     歯科医師 藤田孝一

 昨年の年報では、事の重大さに何も書くことができませんでしたが、東日本大震災により被災されましたすべての皆様に謹んでお見舞い申し上げると共に、お亡くなりになられた方々やご遺族の皆様に対し深くお悔やみを申し上げます。
 昨年は、震災や原発事故で日本中の皆さんが、今までの生き方や人生観、考え方を見つめ直さざるを得なかったのではなかろうかと思います。直ぐに行動を起こしてボランティアをされている方がたくさんいて、とても素晴らしく思いましたが、個人的には震災直後は、あまりの規模になにもする気が起きず、募金くらいしかできませんでした。重ねてお詫び申し上げます。

 震災以来、モノの考え方も変わってきたように感じます。絆という字が2011年の漢字にも選ばれたように、一番大事なのは人と人との絆だと再認識された方も多いかと思います。ずっと今と同じ毎日が続くわけではないという当たり前のことを災害という形で目の前に突き付けられ、もしかしたらもう二度と会えないかもしれない人たち、もう一度会って話したい人たち、私の頭の中にもいろんな人の顔が浮かびました。

 2011年は、数年会ってなかった人たちと再会する機会にも恵まれました。その一つがネパール歯科医療協力隊第25次隊に8年ぶりに参加したことです。2000年から2004年の自分の感想文とかを読んでみれば、なるほどそれなりになにかを学んで帰ってきてはいるようです。当時を振り返るに当たり、その瞬間その場所では確かに同化して楽しんだりはしているのですが、自分のホームであるところの活動と上手くリンクできていない不確かさがありました。ネパールに参加している自分と、日本で仕事している自分は別の自分であったような違和感がありました。それから8年、特に目的があったわけでもなく、もしかしてこれを逃すと一生参加できないかもしれないという想いだけで参加を決めました。ネパールの地も高層ビルやガラス張りの建築も増え、風景はたしかに変わっていましたが、景色には2日で慣れました。それよりも子供の純粋さとか緩やかな時間の流れとか全く変わらないものもたくさん発見することができました。

 カトマンズでは、たまたま学会でネパールに来ていた大学時代の準硬式野球部の後輩とも再会しました。実に大学卒業以来17年ぶりでしたが、お互いほとんど変わっていないように感じました。
再会といえば、2011年大流行したソーシャルネットワークサービスのFacebookでも、南小学校の友人、九州歯科大学の先輩後輩同期生、高校の同級生、そして地域のみなさんともネットを介してではありますが、再会することができました。いろんな時代の自分を思い出して、楽しかったことつらかったこと、変わったこと変わってないこと、いろんな思いが過ぎりました。
 
 人生は一度きりだし、過去の自分を変えることはできません。しかし人生うまく行くことばかりの訳がありませんから、過去を振り返って、あの時もう少し、とか、別の選択はなかったのか、など後悔することもたまにはありますね。ある人によれば、後悔とはネガティブな自己否定に過ぎないが、反省とは失敗を知識化する作業だそうです。

 今私が、これまでの生活の中から失敗を知識化するとすれば、意思決定のプロセスとその後の共有過程に原因があったように思います。例えばなにかの選択は常に自分でおこなっていました。誰かに相談したり、共に考えたり、共感、共有するという作業があって良かったのではないか、もっと誰かに寄りかかって良いのではないかと思います。逆に、本当に自分で選択したのかと疑って考えれば、ただ単に家族や友人など環境に守られていただけで、自分では何も選択していなかったような気にもなります。

 この10年間、自分は進化したような退化したような。年齢的に考えれば、過去を後悔したり、今を悩んだりしている場合ではないのかもしれませんが、「思い起こせば恥ずかしきことの数々、今はただ後悔と反省の日々」 (名画『男はつらいよ』の寅さんの手紙より)を過ごすこともしばしあります。

 今年は前向きにやりたいことや好きなことへ、チャレンジを続け、多くの人と会い、本音で話をして、悔いのない決断をしていきたいと思います。自分の身の回りのことについて、誰かと語り合う、もちろん逆に相談されたら自分のことのように考える。もし誰かに迷惑をかけてしまっても、ちゃんと最後に共感できるようにする、当たり前のことを書いているのかもしれませんが、当たり前にできるようになるよう今年の目標として掲げておきます。

 毎年のご挨拶はどこか背伸びをした文章だったのですが、今年は等身大な自分を書いてみました。少し年をとったせいかもしれません。そんな14年目の春です。