15年目のご挨拶

平成11年に道を挟んで現在地に新規オープンして、本日をもって15年目に入ります。今年も4月発行予定の藤田歯科医院年報の挨拶文を掲載して、15年目のご挨拶とさせて頂きます。


長文なので、続きを読むをクリックしてください。


これまでの分は


1. 新築1周年を振り返る 2000.4月 

2. 歯科医院におけるIT革命 2001.4月 

3. 歯科医院におけるIT革命その後 2002.4月 

4. 変革の時代のキーワードで見る藤田歯科医院の現在未来 2003.4月 

5. 患者中心の歯科医療を目指して 2004.4月 

6. カイゼンとチェック 2005.4月 

7. 自己責任と信頼関係 2006.4月 

8. 映画「県庁の星」と患者医者関係 2007.4月 

9. 地域社会との融合を目指して 2008.4月 

10. いま、ここ、そして未来へ 2009.4月 

11. 高齢化社会の中の「老い」と「死」 2010.4月 

12. 資本主義と歯科医療 2011.4月 

13. 過去と知識化


一極集中 藤田孝一


2012年度は歯科関連や一般ビジネス系のセミナーや研修会、講演会、学会にたくさん参加した一年でした。もともとセミナーの類は好きで、大学卒業後すぐからよく参加していました。歯科大学を卒業して歯科医になりたて、自分がなにもできない頃に聞いた話は、痛烈ではありましたが、結局活かすこともできず頭でっかちになるばかりで、一時期参加をやめていた時期もありました。ここ数年になってようやく聞いたことのほとんどが理解できるようになり、また実際に翌日から診療にも活かせるようになった実感が湧いてきたこともあって、非常に有意義な参加となっています。


そうした中で、同窓生や縁のある先生方を拝見していると、いろんなタイプに分かれます。研究や学会発表で日本だけでなく世界的に高名になった方、早くから何か一つに絞った専門医タイプ、オールマイティータイプ、臨床に特化している方、経営に特化してる方、中にはサイドビジネスや趣味の世界で軌道に乗って、歯科医師を辞めた方もいます。どれがいいとか悪いとかはありませんが、それぞれの考え方や性格、住んでいる土地の地域性など色んな要素から成り立っているのではないかと思います。


当院では当初から、近所の方がどんな治療も受けられるよう、広い範囲での診療を目指してきました。いわゆる町の歯医者さん的なホームドクターを目標に、インプラントもやれば訪問診療もする。審美歯科も総入れ歯もいっしょにやっています。これはわざわざ治療を受けに遠くの総合病院まで行かなくていいように、という思いを込めています。ただでさえ人口が減っている直方市、高齢者は医療を受けるのに隣町に引越したりしています。何年もかかられていた患者さんが、引っ越しで来れなくなるというのはとても寂しい瞬間です。専門性を持って大掛かりな医療インフラ整備の必要性も感じますが、せめてその前に自分にできることはひと通りやろうと思うのです。



ただしかし、歯科医院も増えてくると、特徴のある医院もまた望まれているのも事実です。インプラントに特化した歯科医院、入れ歯専門の歯科医院もあった方が、患者さんは選びやすいでしょう。当院のように広い範囲で医療を展開していると、あれもこれもではなく、何かに絞ったほうがいいのではないかとか、あれこれ手を出して、どれも中途半端になるんじゃないかという批判も受けることがあります。それでもなにかを止めるということは考えていません。それは、前述したような地元の患者さんにいろんな治療を受けて貰いたいというのもありますし、自分自身が、いろんなことに挑戦したいし、できないことはなくしたいという強い思いもあるからです。


しかし、ものすごく高いレベルで考えると、人は何かをなしえるのはたった一つのことだけだ、というのも真理です。オリンピックの金メダル選手が、別の種目でも金メダルを取れるわけではありません。この先歯科の何かのジャンルで超一流を目指すのであればなにかに絞るべきでしょう。「面白いことに足を突っ込むのは、目の前の自分の立場でやるべきことを終えてからだ」 と言われたことがあります。


つまり、私があちこち講習とか受ける前にやることがあるはずで、それも終わってないのにあれこれやってもダメだよアナタと言われているのです。


たしかにそれは理解出来ます。とは言え、そんなストイックに生きられない、というのも事実だったりします。昔と違って面白そうなことはたくさんある。情報化社会でそういうのを知ってしまう。知ったからには参加したいと思ったりするわけだし、たとえ他人には情報に振り回されていると思われようと、別にいいじゃんそんなこと、と思ったりもします。今はそういうのが楽しくて仕方ない時期なんで、あと数年待っててくださいな、と、もう何年も前から言っている気がします。やりたいことが多すぎて、まだじっくり一つのことに人生のすべてを集中するなんてことはできずに、いろんなことを齧って食べる自分もそれはそれで自由なようで楽しんでいます。


でも10年後を考えてみたり、残りの歯科医師人生を考えると、このまま自由を謳歌するだけでいいのか、とも思います。参加証だけじゃなく、いい色のメダルも欲しいような気もします。迷いもなく、ひたすら臨床の道に精進している先生方もたくさんいらっしゃる中、このような思いを綴るのも恥ずかしいことではあります。今までいろんなことに参加して、友達も増えて、なんとなく楽しい、充実だと感じて生きて来ましたが、これからは何かをなし得るために一極集中するのも必要なんじゃないかと思い、転換期を迎える自分の記録として残しておきます。


本年もよろしくお願いします。