16年目のご挨拶

本日4月1日は、藤田歯科医院が新築開院して16年目に迎える日になります。創業からは88年目くらいになります。

毎年、発行している年報の挨拶文を年度頭のブログにも載せています。長文ですが、よかったらお付き合いください

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コピーとオリジナルの間

 2013年は熊本でのインプラントの年間コースに参加し、そこで得た知識を生かすために計画より何年か前倒しでCT(コンピュータ・トモグラフィー)を導入しました。CTとは、今までレントゲン写真は二次元で平面として見えていたものが、三次元つまり立体として見えるレントゲン撮影装置のことです。最近話題の3Dプリンタを使えば、この画像を立体的に再現して外見そっくりのコピーを作ることができます。

 今まで大丈夫問題ないだろうと思われるレントゲン写真もCTで見てみると、奥行きは隠れて見えてなかったこともあります。これにより飛躍的に診断力が増しました。ご来院の皆様には、きっとより安全に治療を受けてもらえることができると思います。

 このようなデジタル技術の進化は、これまで匠の技であった技術を数値化し、歯科医師の技術力の差を平均化することが予想されます。CTの他にも大きくしっかり見えるマイクロスコープ、スキャナで読み取って被せ物や詰め物を削り出すCADCAM、骨を安全に削るピエゾサージェリーなど、導入したい機器もまだたくさんあります。

 では、それらを全部使えばどこに行っても同じ歯科治療が受けられるかというと、それはそれで、その歯科医師の性格や方針がありますから、全く同じという訳にはいかないでしょう。考え方は機械でコピーするわけには行きません。患者さんとの相性、というのもあるかと思います。しかし医学が進歩していることは間違いないですから、患者さんも今後より安心していただけるのではないかと思います。

 さて、考え方はコピーできないと書きましたが、まるでコピーするかのように、他人のモノマネをして、同じ考え方をするというのは、成長モデルの近道のようです。世間ではメンターとかロールモデルと言われます。その人の考え方をそっくりそのままコピーしようという質問方法で自分の脳に相手の脳を埋め込んじゃえ、という「ブレインコピー」という面白い手法(※インタビューすることでその人の考え方を学ぶという方法で決して怪しいものではありません)もあるそうです。この手法はあくまでもアナログな方法ですが、そのうち人間の脳もSF映画のようにデジタルデータのようにコピーできる日が来るかもしれません。

 私にも、いっそのこと脳をコピーしちゃいたくなるような人たちがたくさんいます。特に余計なことを考えて話が進まない時期には、こんなことなら、あの(成功している)人の考え方で臨んでおけばよかった、と後悔しきりになります。まだまだ振り返れば、あの時こっちの道を選んでおけば、とか多分選んでないんだろうけど、選んでたとしても今より成功しているわけではないんでしょうけど、勝手な想像を膨らませてしまうこともしばし・・。みなさんは、誰かの脳をコピーできるならやりますか?

 そこで思い出すのは、学生時代の長い夏休みや、卒業2年目の研修医時代、職の切れ目に1ヶ月位何もしなかった時期のことです。朝起きてボーっとして、夜になったら食事に行く。それの繰り返し、もし自分がいなくなっても誰からも気づかれません。その時初めて自分の存在が希薄に思えたものです。この世界に自分がいてもいなくても変わらない、今思うと、貴重な体験だったのかもしれません。

 現在は自分の居場所、仕事場、歯科医院があり、いなくなるわけにはいきません。いや、マクロで見れば、いなくなったとしても日本の豊かな社会ならなんとかはなります。最初困っていた人たちも1週間、1ヶ月と経過するうちに、だんだんと慣れてくることでしょう。でも、それでいいかというと、いいわけではありません。まだまだ社会的な影響は軽微であるとはいえ、私じゃなきゃダメ、ということもあるはずですし、まったく無ければ面白くありません。仕事に関しても、良い歯科医院はたくさんありますが、藤田歯科じゃなきゃダメ、あの先生じゃなきゃダメ、という部分をどんどん出していかねばならないと思います。好きなもの、得意なこと、こだわりの部分をもっと持ちたいと思います。これから先の人生で自分にできることはなんなのか、自分だけのオリジナルを探求して行きたいと思います。  

 稲盛和夫氏の著書の中で見つけた言葉ですが、「前人未到の道を歩くのと、先達の轍をたどるのとは全く違うことである。前者の場合、確かめることができるのは自分だけであり、(中略)自分自身に対する信頼、つまり自信を持つことである。自分の中に確固たる判断基準を持ち、それを信じ行動する」ことが、これからの人生に求められていることだと思います。横並びで隣の人と同じことだけをしていれば楽だし、ある意味平和に生きていけます。誰もチャレンジしたことのない道を行こうと思えば次から次に困難に立ち向かわねばなりません。それほどのモチベーションを保つこともまた大変です。

 しかし、そして「張りつめた緊張感で日々仕事に取り組み、あらゆることに真剣に対処する、そのような習慣を我がものとする」よう、毎日を今よりもっと一生懸命過ごしていきたいと思います。開院から15年経ち、もう大きな変化は必要ありません。毎日少しずつ、砂浜に砂を積み上げるかのように上がっていきたいと思います。