沈黙のひと 小池真理子

パーキンソン病で、動きがままならなくなり、喋ることも言葉が出ずに意思の疎通ができなくなってしまった父親の遺品の中に、終末期に父親が書いた手紙が発見されて、それを父の死後読んだ娘を通して語られる物語。

終末期の介護や、接し方など考えさせられる話でした。

言葉が出てこない以外、考え方もしっかりしていて、ワープロで書いた文章はきちんとした礼節を持ったもので、作った短歌も美しい文章です。もし動けず喋れずの高齢者を介護するとき、こういう手紙が書ける人とは思わずに接してしまうのではないかと思います。

物語の中では後妻からも相手にされなくなり、唯一前妻の娘が文字盤を持ってきて話を聞こうとします。その時の感謝を文章にしたためているのを発見し、主人公も幼い時に別れた父親ではありますが感じるものが多々あったと思います。

こういう話はおそらくたくさんあると思います。ワープロが動かせなくても、もし頭の中の思いを表現できるIT機器とか出来上がったら、それまで考えもしなかった人間関係が始まるかもしれません。いやそういう機械がなくても、それ以前にもっと話を聞こうとすることが大事だと痛感しました。

介護に関わる方にはおすすめの本でした。