信念

アップしたのは2019年ですが、書いたのは2018年、20年目を迎えて、の年報挨拶文です。

2017年は、あらゆる意味で原点回帰を意識した一年でした。医院のことに目を向ければ、スタッフの相次ぐ退職と、人手不足で求人がなく、後半から開業以来最小の人数で運営することになりました。そこに至るまでにはいろんな反省点もありますが、結果的には私自身が自分でやる仕事も増えることで、材料や方法の見直しができたり、不便な部分を発見したりすることもできたので、よいきっかけだったとポジティブに捉えようと思っています。
売上や利益は度外視して、一からやり直そうという気持ちでしたが、そこまで経営指標は悪化することもなく、また6月には学会でアワードもいただくことができて、終わってみれば良き思い出も多い一年となりました。きっとこれは亡き父の置き土産だと、感謝の気持ちを忘れずにいきたいと思っています。
さて、診療においては、これまでと違った視点で歯科臨床を考えるようになり、なんで今までこういうやり方でやっていたんだろうかとか、疑問点も多く生まれました。人間というのは身勝手なもので、変化しようとすると、今までの居心地がいい世界から離れようとしないのですが、いざ変化してしまうと、それまでいた世界が妙におかしな世界だったかのように思えてしまうものです。新しい機材や新しい手法を取り入れたり、今までのやり方をもう一度再考したりを繰り返しました。
そういう一つ一つを丁寧にやっていると、この症状は自分だったらこういうふうに治したい、とか感じるようになります。自分の歯科医師人生の経験や勉強したことの中から、医療者の理想を追うことも大切なことだと実感します。しかし、情報化社会により、患者さんもいろんな意思を持って通院されます。歯科医師の診断や、治療方針にそぐわない場合は転院されたりすることもあります。そういった患者さんの思いに沿うように治療するのも大事なことかもしれません。コミュニケーションにより、医師側と患者側の接点を探り、というのがベストなのでしょうが、現実はなかなか伝わらないこともありますし、どちらかが意にそぐわぬ治療になることもあるかもしれません。しかし、歯科医師の情報量のほうが圧倒的に多いわけですから、患者さんの希望や都合に沿うだけでは良い治療は一生できません。高額になったり、時間がかかる治療になると、すぐに希望される方も多くないでしょう。そのためにしっかり説明する、自信を持っておすすめする、ということが必要になります。もうそんなことまでしなくていいよ、と諦めている患者さんには、もっと夢を持っていただきたいと思います。そういった「信念」を持って、やっていけたらいいと思います。信念を持つためにはエネルギーが必要だそうです。経験や思い、いろんなものがそれまでの「概念」に加味されて信念へと変わっていく。そういう信念を共有できたらいいと思っています。